家庭裁判所による相続財産の保存・管理に必要な処分
相続財産の保存・管理
前回、説明したとおり、相続人は、相続財産の帰属先が確定するまでの間、自己の財産と同程度の注意をもって、相続財産を管理しなければなりません。
しかし、何らかの事情により、相続人が相続財産を管理することができないこともあるでしょう。また、相続人による管理が不適当なこともあるでしょう。
こういった場合、家庭裁判所は、利害関係人(相続人や相続債権者等)の請求により、相続財産の保存または管理に必要な処分を命じる審判をすることができます。
なお、この審判の効力は、家庭裁判所が審判を受ける者に対して告知したときに生じます。
家庭裁判所による処分の内容
家庭裁判所が命じる処分の内容は、相続財産の「保存」に必要な処分と、相続財産の「管理」に必要な処分に分かれます。
具体的には、以下の処分が考えられます。
相続財産の「保存」に必要な処分
・相続財産の財産目録を作成し、家庭裁判所に提出すること
・相続財産に関する報告を求めること
・保存に適さないものに関して、換価処分を命じること・・・等
相続財産の「管理」に必要な処分
・相続財産管理人を選任すること
・相続財産の処分を禁止すること・・・等