相続人による相続財産の管理
相続人の相続財産の管理義務
相続が発生すると、相続財産は、当然に相続人に帰属します。
ところで、相続人は、相続発生後、相続を承認するか放棄するかの選択権を有するわけですが、仮に相続放棄をする予定であったとしても、相続財産は、その帰属先が確定するまでは、現在相続人の地位を有する者に、暫定的に帰属することになります。
この間に、もし相続財産の価値が減少するようなことがあると、後に相続人と確定した者や、相続債権者が、不利益を被る恐れがあります。
そのため、相続人の地位を有する者は、相続財産の帰属先が確定するまでの間、相続財産を管理する必要があるのです。
相続人の注意義務
相続人は、相続財産を、「自分の財産と同一程度の注意」をもって管理しなければならないと、法律で定められています。
相続人が、この注意義務を怠ったことによって、相続財産の価値が減少した場合には、利害関係人に対して損害賠償義務を負うことになります。
相続の承認・放棄後の財産管理
・単純承認した場合
自己の固有財産となることが確定したわけですから、原則として管理義務も消滅します。
・限定承認した場合
「自分の財産と同一程度の注意」をもって管理する義務が継続します。
・相続放棄した場合
相続放棄したことによって相続人となった者が、管理できるようになるまでは、「自分の財産と同一程度の注意」をもって管理する義務が継続します。