相続人が複数いる場合におけるそれぞれの熟慮期間の起算点
今回は、相続人が複数人いる場合の、各々の熟慮期間の進行について解説していきたいと思います。
以下の事例で考えてみましょう。
Xが亡くなり、その相続人がa、b、cの3名である場合、bとcはXが亡くなった直後に、自分のために相続が発生したことを知ったが、aはその事実を知ることができなかった。
このケースで、BとCは、aの熟慮期間内であれば、自分のために相続が発生したことを知った時から3ヶ月が経過している場合であっても、相続放棄することができるでしょうか?
結論から言いますと、bとcは、相続放棄をすることができません。
これは、法律が3ヶ月の熟慮期間を定めているのは、相続人に対して、相続財産を調査し、相続を承認するか放棄するか判断するための期間を確保させるであり、そうであれば、3ヶ月の熟慮期間は、各相続人ごとに進行すると考えるのが自然だからです。
上記の事例で言うと、bとcの熟慮期間は、自分のために相続が発生したことを知った時点から進行しますので、この時点から3ヶ月以内であれば、相続放棄をすることができます。