家庭裁判所における相続放棄の受理について
相続放棄の申述が受理されるためには?
家庭裁判所は、相続人から相続放棄の申述がされた場合、相続放棄の要件を欠いていることが明らかである場合を除いて、受理するという取り扱いがされています。
そもそも家庭裁判所に、相続放棄の実質的な要件をどの程度まで審理する権限があるのかについては、説が分かれるところですが、実務では上記のような取り扱いがされています。
相続放棄の申述を受理する旨の審判がされたときの効果
では、この家庭裁判所が相続放棄の申述を受理するという審判には、どうような効力があるのでしょうか。
結論から言いますと、この相続放棄の受理の審判は、相続人の相続放棄の意思表示を、家庭裁判所が公証したという性質のものになります。
「公証」ということなので、判決のように、後日この裁判所の判断について争うことができなくなるといった効果は生じません。
たとえば、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されたとしても、これに異を唱える債権者は、相続放棄をした相続人に対して訴訟を起こして、相続債務を請求することができます。
つまり、相続放棄の受理によって、相続関係が最終的に確定するといった効果は生じません。
しかし、相続放棄の申述が家庭裁判所に受理されれば、よほどの事情がない限り、後日債権者が訴訟を起こして争ってくるというケースは、少ないものと考えられます。